冷たい指輪

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 ドクンッ!心臓が震えた。ついさっきまでシオンのナカで暴れ回っていた俺の竿が、血まみれだった。  血の気が引く。何だよこれ、俺がやったのか?俺がやったことだ。よく見たら、ベッドから窓まで点々と赤い血が続いているし。  こんなに血が出て、相当痛かっただろう。痛くしたのは、俺だ。体も心も傷つけたのは、俺だ。 「シ、オン……」  血まみれの、くたびれた竿に向かってあの子の名を呼んでも戻ってくるわけがない。ただ、それでもやっぱり、嫉妬と怒りは消えない。  とんでもないことをしてしまったと恐怖に震えだす肩を抱き、カッと熱くなった目から涙をこぼしながらも。俺は、シオンに、謝る気がない。  俺は悪くない、悪いのはシオンだと言う最低な俺がいる。隣に、今すぐ追いかけて探し出して、謝り抱きしめてやれと怒っている俺がいる。  俺の中にいる2人の俺。「はぁっ」と息を吐き、ユルユルと顔を上げて窓を見る。レースカーテンがゆらめくだけで、そこにシオンはいない。  ここは大学の保健室。出入り口には鍵がかかってはいるが、窓はシオンが開けて解放感抜群。今の俺を見られたら、今度こそ仕事をなくす。最悪、通報されて刑務所行き。  最愛のシオンを失い、仕事まで無くしたら俺、立ち直れないな。何もやる気が起きない。死ぬことも考えるんだろうな。
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