冷たい指輪

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 俺にだって意地がある。悠一が迎えに来るまで、俺の居場所であるそこで待ってるからな。ずっとずっと、風邪をひいてでも待ち続けてやるんだからな。  俺の――ユキ・シオンのことを1番に知っている悠一なら、俺がここにいるってわかるはずだ。  もしも。それをわかったうえで来なかったら、その時は。覚悟を決めて、ここで死んでやるよ。  死んで、化けて呪ってやる。だから早く来い。化け猫に呪い殺されるライガーになんてなりたくねぇだろ?香さんに大爆笑されるぞ?  そんな冗談を考えても、もう、俺の顔は、笑えない。  うつむいて、左手を握り締めて。肩を震わせる。 「悠一。早く。会いたい。……………………寂しいよ」
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