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遅い。遅すぎる。いや、有り得ねぇって。俺が悠一と喧嘩してからもう……………………1か月だぜ!!?
その間俺、衣服がないまま。水は手洗い場の水を飲んで、食い物はそこらへんのを適当に拝借して、なんとか食いつないできた感じ。
かなり痩せたと思う。確実に栄養失調。風邪もひいたし、それが悪化したままだから体がだるくて痛くて、もう動けねぇくらい。
弱った。俺もさ、途中から意地になって迎えに来るまでぜってーここを動かねぇって意気込んでた。
けどそのせいで体はやせ細って自力で歩けないくらいにまで弱りきって、この、俺の居場所から動けなくなった。1歩も。立ち上がることもできねぇ。
「ニャ……ニャー……」
白猫のユキで、ここ――ばっちゃんが眠る墓にうずくまる。鳴いても、口から出る声は弱々しい。寒い時に口から出る白い息みたいに、すぐに消えてしまう。
俺、死ぬのか?このまま悠一が迎えに来なかったら、ガチでヤバい。
もしも悠一がこの場所に気付かなかったのなら、悠一は俺のことを本当には理解してないってこと。それに、探そうとしてなかったのなら所詮俺達の愛はそんなものだったってことだな。
ズキンッ。
後者は、嫌だな。それはさすがに、立ち直れない。まぁ、どっちにしても俺の命が尽きるまでに悠一が来なかったら。その時は、ばっちゃんのそばで死ねてよかったって思うさ。
付き合って1年足らず。運命さえ感じるほどの悠一でも、何年も一緒に暮らしてきた、愛情を注いでくれたばっちゃんの方が俺との絆は強い。
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