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へぇ、初めて食った。美味いじゃん。これならふやかさなくても食える。と、先にチュルチュルを全部食ってからクリーム入りのカリカリを食う。
「ニャー、ニャー」
勝手に食ってるから、あんたも食えよ。冷めちまうぞ。とでも言うように、鳴いてみる。
だって男はずーっと、不思議そうに俺を見つめているんだ。穴が開いちまうぜ。それくらいジィーッと、ずーっと見ている。
く、食いにくい。小皿から顔を上げて「ニャーッ」と強めに鳴くと、男は驚いた。
「あ、俺も食えって言っているのか?ありがとな。……優しいやつ。いただきます」
俺の――猫の言葉がわかったのか?それとも、素晴らしい心で空気を読んだ?なんてな、どうせ偶然だろう。
そう思いながら顔を下げ、小皿に舌を伸ばす。チラッと目だけを向ければ。男は、苦笑を浮かべて食べ始めていた。
少し冷えただろ?俺に先に食わせてくれてありがとな。あんたのおかげで、割と早く快復できそうだ。必ず何か恩返しをしてやるから。
すぐに食べ終わり、小皿を綺麗に舐めてピッカピカ。いや、マジで久々にユキで食ったから美味かった。
男はガツガツ食っている。俺が食べ終わったのに気づいて、慌ててネギチャーハンをかき込んでギョーザを口の中に突っ込む。
食う早さも違えば食う量も違う、俺に合わせようとすんなよ。俺が、見えなければいいか?
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