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「……で、なぜこうなったのかはおぬしならわかるじゃろ?」
「うっわ、ヤバいッスね。俺でも意識を持って行かれそ、うっ……」
「緋桜では耐えられんじゃろ、下がっておれ。これは、わしでも揺さぶられる。まったく、これほどまでになるとは。よもや自分で力を解放したわけではあるまいな?」
「…………」
「おぬしがそうやって口を閉ざしてしまうこととなれば、おそらくはシオン君とのことじゃろうの」
「…………」
「少しは返事をしたらどうなんですか?そんな情けない姿をさらして、恥ずかしいですよ猫屋敷さん。うわっ」
「緋桜!これ以上魅了されると無意識に脱ぎ始めることになるぞ。ネコヤン君に喰われたくなくば、大人しくわしの言うことを聞いて下がれ」
「嫌です。はぁっ。見ないように、背を向けています。マスクって効果がありますかね?」
「魅了の力を風邪や花粉症と一緒にするでないわ。わしを心配してそばにいてくれるのは嬉しいが、頼む。今は席を外してほしいのじゃ」
「………………これだけ強い力、いくら香さんでも堕ちてしまわないとは限らない。終わったら、確認しますから。何かあればすぐに呼んでくださいッス。あと、これをお持ちください」
「あぁ、ありがとう、緋桜」
場所は研究所。の、地下3階にある特別仕様の檻の中。1本1本がかなり太い強固な檻の中で俺は両手と両足――両前足と両後ろ足を、これまた太い鎖で繋がれている。
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