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「カオスだな。よくもまぁ、カギもかけずに堂々と。楽しそうな声が外までダダ漏れだったぞ?」
手放した意識がすぐに戻ってきた。ドアが開いた音が聞こえたと思ったら男達の怒号が飛び交い、しかしすぐに短い悲鳴と、何かが倒れる音。
「僕達を退学にしますか、先生?まるで正義のヒーローのようなご登場ですね。一撃でこいつらを潰すなんて、本当にただの保健室の先生なんですか?」
「あー、力加減はちゃんとしたつもりだったんだが、お前らが弱い。いや、退学というか警察でしょ。面倒だがぁ…………覚悟しとけよ」
男に突き飛ばされ床に転がっていた俺が目を向けると、すぐ横に男が倒れた。意識がない。
もう1人の足が見える。体が全然動かなくて、目だけを上に向ければ何か白いものが見えた。でも、目がかすんでよく見えねぇ。
それに男達の声がしねぇ。この人が皆、倒しちまったのか?それも一撃で?一体どんなやつだよ。
そういえばさっき男が「保健室の先生」って……
「噂にゃあ聞いていたが、この子があのネコヒメかぁ。かわいそうに。女子の制服まで着せられて輪姦なんてな。あーあぁ、顔も……え?」
あの保健室の先生なのか?声を聞く限りではどうやらそうらしい先生がしゃがんで、俺の顔を見ようと自分の方に向ける。
息をのんだ、らしい。戻ってきた俺の意識は、先生に助けられた安心で一気に力が抜けてまた自由に。
全身の力が抜けてまぶたも閉じてしまった俺は遠のく意識の中、震える声を耳に残した。
「眠り姫……?」
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