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市役所に、緋桜さんも香さんもいなかった。
午前中はいつものように定時に出勤して、ちょっと溜まり気味だった仕事をバリバリやっていたらしいが。午後になると香さんの体調不良により早退。
まぁ、嘘だな。タイミング的に、悠一とソランさんを探しているんだと思う。
なので、市役所の中に入ってからやけにソワソワして落ち着きがない笑也のパーカーを引っ張って外へ。やっぱり市役所に緊張してたのか。
「悪い、外に出たのがシオンさんを拾った日を除いて3か月ぶりでさ。市役所なんか、何年も来てないし」
「だからってそんなに緊張しなくても、何も怖いところじゃねぇよ。警察行くんじゃねぇんだからさ。つか、今から緋桜さんと香さんの家に行くけど。…………わかってるよな?」
2人が大人しく家にいるかどうかなんてわからねぇ。家か、研究所か。いきなり研究所は、笑也を連れてはヤバいから先に家に行く。
「市長だから、それに2人も擬人化種だから家の場所は秘密、だろ?わかってる。俺も、覚悟決めてるからさ」
わかってるなら、いい。俺はまた笑也を後ろに乗せて自転車をこぎ出して。2人の家へと向かう。10分くらいだな、笑也の家ほど遠くねぇ。
緋桜さんと香さんが擬人化種だって話はしたが、香さんが擬人化種の始祖だとはさすがに言えなかった。そこまで、知らなくてもいいだろ。
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