第三章 スライム 再戦

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「なあ。ホントにしなきゃダメか?」 「はい。ダメです」 「でも、強いモンスターと戦闘になったらどうする?」 「なりませんよ!」  不安そうな勇者の発言に間髪入れず否定する。  昨日のクマとの一件で勇者には力が十分にあることがわかった。だから、強制的にモンスターを倒させてレベルを上げることにした。 「呪文で『逃げる』ことはできなくなりました。私でも解除はできません」 いくら強くても、モンスターを倒さない限りレベルは上がらない。必殺技なども覚えられない。レベルの高いモンスター、特にボスと戦う場合は、本来の力を技の力で倍増させなければ倒せない。もし、レベル1で出会ったら即死だ。 「魔法と言うより、呪いじゃないか? もし、強い敵と当たったらケガどころじゃ済まないし、ボス戦に入って死んだらどうする」とぶつぶつ不満を漏らす勇者。 「わかりました。では、勇者様の防御能力を上げて、マントにどんな攻撃も一度だけ回避できる魔法をかけます。それなら文句はないでしょう」 「まあ。それだったら……」 やっと納得したのか、文句は言わなくなったが、村を目指してさっさと歩いていく。モンスターと出会う前に村に着こうとでもしているのか? 「一回でいいです。一回の戦闘でモンスターを倒せば、この呪文は解けます」  勇者の前に回り諭すように言った。
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