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「あ!」
「どうした?」
勇者も一緒に振り向く。
「あ。昨日のスライムじゃないか!」
昨日、倒しそびれたスライムが後ろからついて来ていた。なぜ、昨日のスライムとわかるかと言えば、昨日、勇者が付けた傷がくっきりと残っていたからだ。
「ちょうどいい。昨日の再戦といきましょう」
「そうか、そうだよな」
勇者は少し肩を落としている。
「何をがっかりしているんですか?」
「だって、こいつを殺さなければならないなって思って……」
「まさか、まだ、かわいいとか言わないでしょうね?!」
「だって、小さいし……」
視線をそらしながら言う勇者。
「勇者様。勇者の使命は何ですか?」
いい加減、勇者としての自覚を持ってもらおうと強い口調で言った。
「使命?」
突然、何を言い出すのだとびっくりした顔をする勇者。
「そうです。使命です」
「世界を悪いモンスターから守ること」
「ですよね。だったら、さっさとあのモンスターを倒してください」
スライムを指さして勇者の背中を押す。
「わかった。やるけど、あれはどうするんだ?」
「あれ?」
勇者が指を上に向けた。それにつられて顔を上に向けて言葉を失った。
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