第三章 スライム 再戦

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「あ!」 「どうした?」  勇者も一緒に振り向く。 「あ。昨日のスライムじゃないか!」  昨日、倒しそびれたスライムが後ろからついて来ていた。なぜ、昨日のスライムとわかるかと言えば、昨日、勇者が付けた傷がくっきりと残っていたからだ。 「ちょうどいい。昨日の再戦といきましょう」 「そうか、そうだよな」  勇者は少し肩を落としている。 「何をがっかりしているんですか?」 「だって、こいつを殺さなければならないなって思って……」 「まさか、まだ、かわいいとか言わないでしょうね?!」 「だって、小さいし……」  視線をそらしながら言う勇者。 「勇者様。勇者の使命は何ですか?」 いい加減、勇者としての自覚を持ってもらおうと強い口調で言った。 「使命?」  突然、何を言い出すのだとびっくりした顔をする勇者。 「そうです。使命です」 「世界を悪いモンスターから守ること」 「ですよね。だったら、さっさとあのモンスターを倒してください」  スライムを指さして勇者の背中を押す。 「わかった。やるけど、あれはどうするんだ?」 「あれ?」  勇者が指を上に向けた。それにつられて顔を上に向けて言葉を失った。
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