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第二章 キャンプ 夜
「なあ。疲れてる?」
一切の疲れを感じさせない声に「疲れてないように見えますか?」とトゲのある返答をした。
「そっか。そうだよな」
腕を組んで何度も頷く勇者。
一体、誰のせいで疲れていると思っている? どんなに弱いモンスターにエンカウントしても、どんなにチャンスがあっても、一度として倒せていない。この先、旅を続けて行けば、いやでもレベルの高いモンスターと戦わなくてはいけないときが来る。その時に、このレベル1の状態の勇者では、敵からの攻撃はどんなものでも即死レベルだ。
「はあー!」
盛大なため息がでた。
「疲れが取れる薬草を探してくる」
勇者は立ち上がって暗い森の中へ向かっていこうとする。
「ちょっと、待ってください。今からですか?」
今はすでに夜遅く、森の中にテントを張って火をおこし、夕飯も終わって、明日、どこに向かうかも話して、あとは寝るだけとなったのに、何を突然言い出すんだ?
「川の方へ行けばあると思うから、ちょっと待っててくれ」
「やめてください」
この時間から採りに行っても、暗くて見えるかどうかわからないし、運よく薬草が見つかったとしても、帰ってきて、煎じて飲むまでに、朝になっている。それを考えたら普通にこのまま寝てくれた方が体力は回復する。
「寝れば疲れはとれます」
引き留める言葉も聞かずに勇者はさっさと行ってしまった。
「疲れの最大の原因は、モンスターを一匹も倒せていない勇者様のあなたです」とは口が裂けても言えないが、また、疲れる原因ができたことは間違いない。
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