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「上書きしたい。」
耳元で囁かれる声。俺は思わず微笑んでしまう。だって考えてることが一緒だから。
俺も爽に上書きされたい。
軽く爽の耳を口で摘むと爽はそれを返事と取ったらしい。
俺を優しく横たえ上に被さってくる。
「ああ、稜。」
最初は優しく触れるだけのキスから徐々に粘着質になっていくディープキスまで。優しくとろけるようにいつもより長い間キスをする。いつもより強く爽の服の袖をつまむ俺を宥めるように。そんな甲斐甲斐しい爽のキスに翻弄され続けた俺は、段々力が抜けてくる。その代わり、後ろが爽を求めてしまっていて。それを隠すように足同士を擦り付けるとその様子に気づいた爽が下のパジャマを脱がす。先走りやらなんやらでぐちゃぐちゃになっていたパンツの中を見られて恐怖や、拒絶よりも羞恥のほうが勝ってしまった。後孔をほぐすのも普段より何倍も優しくていいところを掠めるたびに俺の口からは甘い嬌声が漏れでる。きっと俺を怖がらせないためにゆっくりしているのだろう。あいつは早急に襲ってきたから。けれどそれは焦らしともとれるのだ。焦らされまくった俺は腹の奥がきゅうぅとなるのをずっと感じていた。はやく、はやく、体がそういっているようで。
「爽」
息もとぎれとぎれに名前を呼べばすぐに反応してくれる彼氏。
「もう…挿れて?」
俺を満たして、早く。
その言葉に少しばかり固まっていたが、すぐさま正気に戻ると爽は指を抜き、そこに自身のをあてがった。
「んっ、ひぁぁああ」
思わず甘い嬌声が部屋に響く。
あ~爽のだ。
「あっ、ひぁ、も、やぁぁ。」
肉と肉が打ち付けられる音、ローションで、とろとろにされたそこは難なく爽のを咥えこむ。
与えられる快楽は俺を満たしていく。どこまでも甘くて優しくてそれでいてどこか苦しい。
「そ、うっも、イク、イ…くっ。」
ほら、爽はやっぱり違う。中だしなんてしない。ちゃんと考えてくれてる。
意識を失う寸前、爽が微笑んで何か言った気がしたが俺の耳には届かなかった。
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