16人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
思わず息を詰める俺。そんな俺を見て野郎は気持ち悪い顔を更に気持ち悪くする。
「あぁ、居るよ。おかえり。」
声だけはあの優しい父親のままで。
「ふ、くっ。」
俺への律動を辞めないままで。
「親父?そこに誰かいるのか?」
それを耳のいい爽は聞きとってしまって。どうやらその声が俺だということには気づいてないらしい。
「いいや、誰も居ないよ。」
爽に気づいてもらいたい感情と今の自分を見てほしくないという感情が俺の中に湧き上がる。そんな感情を素直を表すように後孔が締まる。野郎はそれに耐えられなかったのか、中でイッた。ゴムなんか野郎は着けてなくて俺の中に気持ち悪い感触がある。
助けて、助けて。
声にならない助けを、目線だけ扉の方に向ける。
扉1枚隔てた向こうに爽がいる。なんとも言えない背徳感と罪悪感が俺を満たしていく。
ゴメンな、ゴメンな爽。
足音が遠ざかっていく。それを確認した野郎はまた俺を激しく犯す。息子が同じ屋根の下にいるのに。野郎のがまた大きくなる。なんとなくわかる、ああくる。
「だすぞ、稜!」
名前で呼ばないで。
もうやだ。助けてよ。痛い。辛い。悲しい。
涙が溢れてきて止まらない。どうしようもないのに止まらない。
「そ…う…。」
あぁ、中に出されてる。これ掻き出すの大変なんだ、あぁ死にたい。
薄れゆく意識の中、聞こえたのは扉の破壊音と恋しい人の自分を叫ぶ声だった。
最初のコメントを投稿しよう!