死ぬほど愛してる3

1/4
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

死ぬほど愛してる3

目覚めは悪くなかった。でもその後が最悪だった。  靄のかかったような頭が起きた瞬間に先程のことを思い出させる。意識がなくなる寸前に聞こえた恋しい人の声。多分あれは幻覚じゃないんだろう。事実、俺が横たえられているのは爽の部屋のベッドで体だってあれだけ中出しされたのにきれいになってる。  「そ、う。」  嗄れた声で恋しい人の名を呼ぶ。  誰も答えてくれなくてもいい、ひたすらに呼ぶ。  然し、呼んでいるうちに自分にはもう爽と恋人でいる資格もましてや、友達でいる資格もないように思えて涙が伝う。  体中が痛い。あれだけ抵抗し、暴れたのだから仕方ない。けれど…けれどそれ以上に心が痛かった。痛くていたくてこのまま消えてしまうのかなんて本気で考えてしまうくらいに。一度流れ出した涙は止まるタイミングを失って流れ続け、俺は体を丸めて声を殺す。  だって思わないだろ普通。俺男だし、犯人恋人の父親とか笑えない。挙げ句の果てに犯されて淫らに快楽をおぼれた自分が嫌で俺はベッドの中で体中を掻きむしる。今すぐ俺の体の細胞全部変わればいいのに。あいつが触った細胞全部腐ってしまえばいいのに。掻きすぎて血が滲んできても俺はやめなかった。こんなことしても意味がないのはわかっているがこのままだと爽に愛想をつかれてしまうと爽に顔向けできないのになと自嘲しながら掻きむしる。顔も腕も脚も腹も首も全部、全部。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!