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「稜!?!?」
だから気づかなかったんだ、恋しい人が部屋に入ってきたことに。血相を変えて俺のもとに走ってきてることに。
「稜!!稜!!」
俺はゆっくりと声のする方に顔を向ける。そして爽の姿を確認した瞬間壊れた。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいいやだいやだいやだ!!!ごめんなさい痛い痛い痛い!!辞めて云うこと聞くからちゃんとするからだから爽に手を出さないで!爽には!爽には!」
背中に温かい感触。抱きしめられてるんだってわかった。
「ごめんごめんごめんごめん爽しか爽にしか許すつもり無かったのに俺俺、爽以外のやつにヤラれてごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんこんな恋人でもう必要ないよなごめん俺汚れちゃったからもう爽には近づかなっ」
「そんなこと言うな!馬鹿なの!僕、稜居なかったら死んじゃうよ?むしろ謝るのはこっちの方だろ!親父がそんなふうに思ってるなんて知らなくて、無理やりだったんだろ!それならもう謝るな!」
一方的に捲し立てる爽。俺の頬を伝う涙。でもそれは俺のじゃなくて。
「爽?」
爽のだった。爽は俺の視線に気づくと俺を更に強く抱きしめた。まるでもう何処にも逃さないというように。俺もさっきまでずっと泣いていたから二人してパンダみたいな目になって、少し笑った。
どれくらいこうしていたのだろう。ふと爽の腕の力が緩んだ。俺は預けていた体を起こし、爽の方を見る。
そのときに爽が着せてくれたパジャマから見えた鬱血痕に爽が顔をしかめたのにまた謝りそうになった。
今の俺は上半身だけでも起こしているのがしんどくてけど寝てしまったらこの空間が夢で目覚めたらあいつが俺の目の前にいたらと考えると寝れなかった。
「稜」
爽の名前を呼ぶ優しい声に俺はゆっくり首を傾げる。
さっき爽の前でみっともなく混乱し、声を出していたため嗄れた声は更に潰れて言葉にならない。
それでも俺の尋ねんとするところは伝わったらしい。
【愛してる】
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