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「おーい!そこのアンタ。こんな所でなにやってんだい?」
いつの間にか近くに人がいたらしい。黒髪をオールバックにまとめた筋肉質の男に話しかけられた。年は30歳程だろうか…
「なに黙り込んでるんだよ。俺の名前はククルゥ。お前は?」
自己紹介である。ただ俺に名乗る名はない。
「言えない」
こういうしか無い。
「え?」
ククルゥは驚いたようだが、更に話しかけてきた。
「そうか、じゃあ村は?この近くか?」
「違う、この近くの者じゃない」
「あぁ、旅人か。見覚えのない服を着ているしな」
ここでひとつ分かったことがある。ククルゥの着ている服は知識の中のものと異なっている。新たな文化圏、もしくは別の世界に来たのだろう。
「それも違う」
不毛な会話を続けるのは心苦しい。隠すことでも無いのだし、全てをククルゥに話してしまおう
「実は…」
ここで俺はこれまでの事をククルゥに伝えた
(といってもスーツ姿の男に言われた事しか言えなかったが)。
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