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☆ ☆ ☆
「ふ、ふふふ....これで完璧!」
朝、鏡の前でニヤケる私。
しかし朝方までゲームしてせいか、隈が出来ている。
「朱里ー! 黒炎君が迎えにきたわよー」
お母さんが下から呼んでる。黒炎君が来てるみたいだし、行かないと。
いつもと違う私を見て、なんて言うかな? 今からドキドキだよ。
「はーい!」
「おはよ、朱里」
そこには、爽やかに挨拶をする黒炎君がいた。
朝はいつも黒炎君が家まで迎えに来てくれる。
これだけでも幸せな日常だけど、私はそれだけじゃ満足出来ない!
そして、挨拶を返す私。だけど、普段とは違う私で一言。
「おはようございます、黒炎くん」
「....朱里、ど、どうした?」
「何がですか? ほら、学校行きましょう。遅刻すると先生に怒られてしまうので」
「お、おう....」
驚いてる。
サプライズ大成功!と小さくガッツポーズ。
私が考えた作戦、それは....アカリちゃんを真似すること。
今はアカリちゃんしか見えないなら、私がアカリちゃん自身になればいいってね!
そうすれば、触れられる感覚とかもあるし、自然と私を見てくれるはず。
普段は一つ結びだけど今日はアカリちゃんとおんなじポニーテールにしてみた。
それに委員長キャラのアカリちゃんと同じ堅苦しい敬語。
アカリちゃんを知るために徹夜でゲームをして研究したってわけ。
あれ、でも....ポニーテールについて何も言ってこない。
私から言ってみよう。
「ねぇ、黒炎君。今日の私、どこか変わったところありませんか?」
「変わったところ....あ」
「....?」
「葉っぱがついてる。お前、この葉っぱどこからつけてきたんだ?ははっ」
「....もうー、そんなに笑わないでよー!」
あまりにも黒炎君が笑うものだから、恥ずかしくて黒炎君の胸板を軽く叩く。
「いた、痛いって朱里」
「....!」
普段私のことをお前としか言わない黒炎君が遂に私の名前を呼んでくれた!
これって、アカリちゃん効果!?
「やっぱり、朱里はそっちのほうがお前らしい。
....って、マジで遅刻するぞ! ほら、走るぞ!」
「ちょ....!」
突然、腕を引っ張られる私。
いきなりのことでビックリしたけど、すっごい嬉しい。
なんだか、いつもより鼓動のスピードが早い気がする....
でも、そっちのほうが“私らしい”ってどういう意味だろう?
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