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* * *
あっという間に放課後になり、黒炎君と帰ろうとしていた、その時
「あの....黒炎くん、今お時間よろしいですか?」
ポニーテールの女の子が、黒炎君に声をかけた。
「あ、あー....俺、今から友達と帰るんだけど」
「黒炎君、行ってきなよ! せっかく呼ばれてるんだし!」
「朱里....お前が言うなら行ってくる。教室で待っててくれないか?」
「うん、わかった!」
また告白か~と思いながら、教室へ向かう私。
恋敵の協力? まさか、そんなことをするわけがない。
鈍感な黒炎君は気付いてないだろうけど、あの女の子、私のことすごーくきつい目で睨んでたんだよ? しかも、最後は殺気なんか送っちゃって。
あの場にいたら怖くてたまんないよ。
恋する女子って怖いなぁ~、あれ私も恋してるはずなんだけど....。
などと心のなかで呟いて黒炎くんを待っていた。
「....おそい....」
20分近く待ったのに一向に訪れる気配がない。
「待てない!」
そういって私は黒炎君を探しに行くことにした。
告白する場所はわかんない。けど、乙女の勘を信じる!
告白する場所といえば大抵決まってる。
非常階段の下、もしくは誰もいない教室。
よし!まずは非常階段の下だ。
「....いた....」
木の影に隠れながらこっそりと見る私....あきらかに挙動不審です。
「ねぇ、好きな人って誰なの?」
「だから....教えられないって何度も言ってるだろ」
二人は喧嘩してるみたい。
というか、女の子のほうが怖いんですけど....普通そこまで聞く?
「私の知ってる人? 名前教えてくれたら諦めるから」
「....はぁ~....。あのな、人には言えないことの一つや二つあるんだ。
それにこれを言ったら、君が他の人に言うってこともありうるだろ? だからそんな簡単に言えない」
黒炎くんは深いため息をついてそう言った。
それに黒炎君の言ってることは正論だった。
「は? なに、それ。私のこと疑うって言うの?ねぇ、早く教えて。
あぁ、もしかして好きな人って私だったりする?
そうだよね、さっきフッタのは冗談だよね....。
だって、あなたの好きなアカリちゃんと同じポニーテールなんだよ?」
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