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「おま....なに、いって....」
「....っ....」
直接目の前に居るわけではないのに、私にも黒炎君と同じように怖いという気持ちになった。これがヤンデレってやつ? ゲームで見るよりも、百倍怖いんですけど....。
っていうか黒炎君はヤンデレが大の苦手。
今のゲームで何百回もヤンデレルートにいったため、見るのも嫌だと、この前言っていた。
助けてあげたい....でも、恐怖で足が動かない。
「動け、足!」
私は震えていた足をバシッと叩き、すぐさま黒炎君を守るように彼の前に立った。
「ちょ、あなた誰? そこ邪魔なんだけど」
「うっ....どき、ません! 私は、彼の幼馴染みです!」
「朱里、お前どうして」
「助けに来たの。どうしてって....好きな人が困ってたら助けるのって当然じゃない?」
私は両手を大きく広げ、精一杯、黒炎君を守る体制をとった。
「あなたも彼を愛しているの? でも、相手にはされてないでしょ?
だからそうやってゲームキャラの真似事をしてるんじゃないの?」
「は? 朱里、それどういうことだよ」
「え、それは....」
待って。なんで、この女の子はそんなことまで知ってるの? 怖い、怖すぎる。
でも、バレたからには仕方ない。
それに私、さっきの勢いで本人に好きな人って言っちゃったし。
私は逃げも隠れもしない。
「そうだよ。私は彼、柊黒炎くんのことが大好き! 振り向いてもらうために黒炎君の好きなアカリちゃんになろうとした。ポニーテールだって、口調だって。
だけど、わかったの。....私はアカリちゃんにはなれないってこと。でも、それでいい。
私は、今の私を好きになってもらうようにアタックする! そう決めたの」
私はすべての思いを言葉にした。
今まで言えなかったこと、全てを。
あぁ、言いたいことをいうってこんなに気持ちいいんだ。
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