story 7

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人差し指と中指で、綾瀬さんの耳をそっと触った。 それから耳の後ろからうなじにかけて、ゆっくりと指先を這わせる。 固まったまま動かない唇を親指で押さえたところで、彼女はようやく身動ぎして抵抗した。 構わず強引に、彼女の唇を自分のそれでふさいだ。 唇の隙間から息が漏れ、それさえも閉じ込めるように舌を入れた。 気の遠くなるような甘い味がして、彼女の柔らかい舌をさらに貪った。 止まらない。目眩がする。 綾瀬さんは身を固くして、俺の肩をちいさな手のひらで押し戻そうとする。 そっと唇を離すと、ぎゅっと目を閉じている綾瀬さんが視界に入った。 その目からは、今にも涙がこぼれ落ちそうになっている。 俺は唇の裏で呟いた。 こういうのを我慢して受け入れるのも、仕事ですか。 俺にくれる優しさも笑顔も全部、仕事だからですか、綾瀬さん。
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