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母親に抱かれて、静かな夜道を歩く夢を見た。
俺は恐らくまだ3歳くらいで、母は聞き慣れた懐かしい歌を口ずさんでいる。
がたん、がたん、がたん。
近くで電車の走る音がして、俺は興奮して母に何か言った。
母は笑いながら俺を抱き締め、とんとんと小さな背中を優しく叩いた。
柔らかい腕の中でゆらゆらと揺られ、その心地よさに俺は目を閉じる。
それはまるで、暖かい海に抱かれているようで。
母の身体に還ってきたようで。
たまらなく切なくなり、俺は夢の中で静かに涙を溢した。
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