story 11

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母親に抱かれて、静かな夜道を歩く夢を見た。 俺は恐らくまだ3歳くらいで、母は聞き慣れた懐かしい歌を口ずさんでいる。 がたん、がたん、がたん。 近くで電車の走る音がして、俺は興奮して母に何か言った。 母は笑いながら俺を抱き締め、とんとんと小さな背中を優しく叩いた。 柔らかい腕の中でゆらゆらと揺られ、その心地よさに俺は目を閉じる。 それはまるで、暖かい海に抱かれているようで。 母の身体に還ってきたようで。 たまらなく切なくなり、俺は夢の中で静かに涙を溢した。
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