story X

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20代の5歳差って結構大きい、という自覚は十分にある。 特に恋愛に関しては。そして女が年上の場合は、さらに。 だからこちら側がいくら「かっこいい」「素敵」って思ったって、相手は自分のことなんか何とも思ってないし、眼中にも入ってないんだろうな。 そう思っていたけど、ちょっと違ったんでしょうか。 「ま、待ってください、あの、茜田、先生‥‥」 懇願すると、茜田先生の動きはぴたりと止まった。 すらりと長い彼の指は、わたしの胸元のボタンーーー上から二つ目のそれを外そうとしていたところだった。 茜田先生の視線が、胸元からゆっくりと這い上がってきて、わたしの表情を伺ってくる。 一重だけど大きめの目が、わたしの心の中まで覗き込んで来るようでぶるりと震えた。 「待つって‥‥いつまでですか?」 「いつまでっていうか、今、仕事中ですから」 「じゃ、仕事終わったらオッケーってことですか?」 「いやっ、あの、‥‥そ、それは‥‥」
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