story 13

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彼女は、俺の顔を食い入るように見ている。 「茜田と申します。本日はーーー」 そう名乗った途端、しゃがんで作業していたその書店員が勢いよく立ち上がった。 「初めまして、茜田先生。三洋堂書店の桐原です。今日はよろしくお願いします」 よく通るハキハキとした声が、会場内に響いた。 他の数名のスタッフが、ちらちらとこちらの様子を伺っている。 どこかで、悲鳴のような甲高い声が聞こえた。 声の主はスタッフのひとりだったようだ。 桐原と名乗った書店員が、その声の主の方を一瞥する。 その視線は鋭く、睨まれたスタッフはばつが悪そうに顔を伏せた。 「すみません。では控え室にご案内します」 そう言って大股で歩き出す書店員の後ろを、キョロキョロしながら着いていった。
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