story 15

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しんと静まり返った部屋で、いつも通り原稿に向かう。 俺の動かす鉛筆の、かりかりという音だけが、部屋中を漂っては消えていく。 ふっと大きく息を吐き、俺はソファに頭を預けて天井を仰いだ。 集中できない。 ソファにかけてあった、随分前に綾瀬さんが忘れて帰ったストールが俺の目に止まった。 俺はそれにゆっくりと手を伸ばした。 淡いベージュの、ふわふわとしたストールを指の腹で撫でる。 俺の頭の中に、綾瀬さんの涙が落ちてきた。 どうして泣くんだろう。 どうして俺のところに来てくれないんだろう。 何を悩んでいるんだろう。 彼女の考えていることが、全然分からない。
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