story 16

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「綾瀬さんに指摘されたところ、直してみたので確認してください」 茜田先生から貰ったメールを、わたしは何度も読み返した。 早く電話をして、原稿を取りに行かないと。 頭では分かっているのに、指先が動かない。 ホテルの控え室で悶々としていると、「綾瀬さん」と声をかけられ現実に引き戻された。 控え室のドアのところに、水元さんが立っていた。 今日は夲羽先生の授賞式。 水元さんは、海のように深い紺色の着物を上品に着こなしていた。 女のわたしが、ぼーっと見とれてしまうほどに美しい。 水元さんみたいな美しい容姿だったら、わたしも自信が持てるのだろうかと考える。 「守屋先生、早めに到着したみたいよ」
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