story 17

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「嫌なら抵抗してください」 自分自身の呼吸が、次第に荒くなっていることに気付きながら。 唇の裏で、今ならまだ止められると、何度も繰り返す。 自分の中でうごめく支配欲に、そう言い聞かせる。 「だめなんです、わたし‥‥」 綾瀬さんはそう言って、俺の口元をその華奢な手で塞いだ。 彼女の手は、ひんやりと冷たかった。 荒い息が、彼女の手のひらにかかる。 彼女は目を伏せたまま、そろりと呟いた。 「わたし、‥‥今日は抵抗できません」
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