story 24

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内容は、先日のサイン会に参加したこと、先生がとても素敵で感動したこと、そしてわたしに対して、またサイン会を開催して欲しいというものだった。 読みながら、その可愛らしい文字が滲んできて、わたしは慌てて自分の目尻を拭った。 情けない、と思った。 茜田先生のファンを、一時(いっとき)でも疑ってしまったこと。 そして、これ以上先生の担当は続けられない、と思ってしまったこと。 それは茜田先生のための決断だったはずなのに。 でもどこかでわたしは、茜田先生の原稿に手を入れることを、怖いと感じ始めていた。 編集者として、自信がなかった。 憧れの、大好きな作家先生の原稿に自分の考えを入れることが。 先生の原稿の質を落としてしまうことになるんじゃないかと、ずっと怖かった。
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