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「‥‥‥‥水元さん、わたし、編集者向いてないかもしれないって思ってて」
言いながら、瞳に涙が浮かんでしまい、わたしは慌てて言葉を切った。
職場で泣くなんてこと、絶対にしたくない。
そう思っていたのに、すぐに涙腺が緩んでしまう自分が恥ずかしかった。
水元さんはゆっくりと深い息を吐き出し、それから柔らかい声を落とす。
「私もあったわ。綾瀬さんくらいのときに、編集者の仕事がよく分からなくなって、自信がなくなって、仕事が手につかなくなった時期」
その言葉に、視線を上げた。
水元さんは穏やかな表情で、わたしのことを包み込んでくれる。
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