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「ほんとですか? 水元さんが?」
「うん、職場で大泣きした。古森課長と、入社したばっかりだった三枝くんがいっぱい慰めてくれて。今思うと最悪だった」
その光景を想像すると、何だかお腹がくすぐられているような気分になって、わたしの頬はゆっくりと緩む。
「綾瀬さんはもうすぐ入社5年目よね。そのくらいの時期って転職を考える人も多いと思うけど、‥‥‥‥編集者として今後もやっていくんだったら、ここが踏ん張り時だと思う」
水元さんの眼差しは、厳しくて、それ以上に優しかった。
「頑張りたいとは思っているんです。でも、どうしたらいいか‥‥‥‥」
わたしの声は、自分が思っているよりずっと弱々しいものだった。
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