story 24

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「そうやって、もがき続けるしかないのよ。この仕事にゴールなんて無いから」 水元さんは独り言のようにそう言った。 もがき続ける。どんな仕事も軽々とこなしているように見える彼女も、そうなのだろうか。 未だに悩みながら、苦しみながら仕事をしているのだろうか。 わたしと同じように。 「作家の仕事も同じなのよ。綾瀬さん」 そう言われ、ずきりと胸が(きし)んだ。 水元さんの目尻に、柔らかな皺が入る。 「私が叩き直してあげるから、とにかく校正してみなさい。どんなに的外れな校正でも、その上から私の校正を入れるから、安心して」 不思議なもので、そう言われてしまうと悔しいという思いが込み上げてくる。 わたしはゆっくりと手を伸ばし、茜田先生の原稿を持ち上げた。 ずっしりと重くて、少しだけ指が震えた。
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