2069人が本棚に入れています
本棚に追加
/472ページ
茜田先生の姿が見えなくなってから、わたしは重たくなった心を抱えて柊谷先生のところへと戻った。
「打ち合わせの途中で、すみませんでした」
わたしを見上げた柊谷先生は、「いいえ」と明るい声で言って首を横に振る。
「突然立ち上がったのでびっくりしました。あのすごく綺麗な人、水元さんですよね」
「あ、はい。そうです」
「やっぱり。新人賞受賞のときにチラッとだけ会ったんですけど、めちゃくちゃ美人でびっくりしたんですよ」
柊谷先生はそわそわと瞳を動かし、そっと言葉を手元に落とす。
「それと、先程の‥‥もしかして茜田先生ですか?」
柊谷先生の、いつもよりワントーン高い声がわたしの耳に響いた。
「そうなんです。わたしも久しぶりで緊張してしまって、紹介できず本当にすみませんでした」
最初のコメントを投稿しよう!