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「ねぇ、‥‥早く」
目の前のよく知らない女にそう囁かれた瞬間、何故か萎えてしまった。
俺は女に被せた目隠しをそのままにして、制服のベルトに手をかけ、閉める。
女のスカートは捲れ上がっていて準備万端だし、口元のほくろもエロいし、結構その気になれていたのにと自分にガッカリする。
「マサト? ねぇ、‥‥どうしたの?」
赤い口元から不満と不安が漏れ出て、俺の背中にまとわりついてきた。
「悪い、ちょっと用事、思い出した」
そう言った途端に、女は「はぁ?」と怒り出す。
その怒りもごもっとも。
でも萎えちまったもんは仕方ない。
制服のネクタイを整えながら、女を放置したまま教室を出ようとすると、背後で尖った声がした。
「さ、最低! あんたなんて顔だけだから。私だって遊びなんだからね」
最後まで聞かずに扉を閉め切った。
生ぬるい風が俺の頬を湿らせ、不快な気持ちを膨らませた。
「だりー。クソ‥‥つまんねぇ」
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