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キーン コーン カーン コーン
終礼の挨拶と共に廊下を走り出す生徒。
駅前の喫茶店で、ケーキを食べることを楽しみにおしゃべりをする、女子生徒たち。
すでに秋を迎えている町なのに、人や建物が沢山あって、今までとなにも変わらない。
外では少し夕日が傾いて見えた。
何かをするってわけでもなく、ただゆっくりと帰り支度をして、帰路につく。
途中、温水プールの横を通り、塩素の香りを鼻に纏わせながら一度止まってみる。
だが、すぐに家へと足を進める。
家に帰ると、手を洗い、うがいをして、部屋に入る。本を読みながら夜ご飯を待ち、夜ご飯を食べてから、風呂に入りベットに潜る。
いつも、この繰り返し。
ひと月後も、半年後も同じ生活のはずだ。
これが普通だ。普通が一番だ。
だと思ってた。
入学して半年が経ち、その間何事もなく、穏やかに、普通に生活していた。
次の日、学校では朝から、少しだけクラスはうるさかった。
新入生が来るらしい、、、
その辺の学校でも、よくあることだ。
名前は、柴田 百合というらしい。
この日、僕は生きてる中で2番目に沢山泣いたかもしれない。
僕は窓の外の雲を目で追いながら、時間の流れに逆らわず、呼吸をしていた。
雲、多くなってきたなぁ。雨かな
担任と共に、新しく転校して来た、女子生徒が入ってきた。
ワーワーーーーーー!!!
何故か、歓声が湧く。美人だったようで、男子生徒から声が発せられる。
「今日から、このクラスに転校することになった柴田 百合です。よろしくお願いします。」
彼女はそう言って、月のように丸く少し冷たい笑顔を見せた。
僕の斜め前の席に座るようだ。
彼女は後ろの子によろしくと言いながら席に着く。
6時間目の授業も終わり、先生が出張のため、終礼がないので、帰り支度を始める。
僕に選択肢はない。真っ直ぐに家までの道がないので、真っ直ぐとは行かないが、家に帰る。
家に帰り、部屋に戻ると、何かがいた。
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