春のとまりを 知る人ぞなき

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春のとまりを 知る人ぞなき

七年前のとある春の日。 僕が高校入学を控えている時期に彼女と出逢った。 冬も明け、木々はようやく彩り、辺りを春一色に染めようとしていた。 高校受験を無事に終え第一志望の学校への入学が決定し、中学も卒業して、やることがなくなった僕は残された春休みをそれなりに満喫していた。と言っても家で読書をしたり、趣味である執筆をしたりしてだらだらと過ごしているだけなのだが、それが僕にとっての息抜きであり、楽しみなことでもある。 「眩しい……」 しかし、僕は今外に出掛けていた。約二週間ぶりの外である。まだ春先だというのに二週間ぶりの日差しは真夏の炎天下のようにギラギラと光を放ち、僕の体に降り注いでいた。 「何で僕が……」 何故僕が外に出ているのかと言うと、一歩も家から出ない僕を見かねて母さんが買い出しを僕に言い渡したのだ。もちろん僕に拒否権はなかった。 僕は玉の汗を浮かべながら自分の足に鞭を打ち何とか歩を進めていた。 少し日陰で休憩したい。 そう思った矢先、近くに公園があることを思い出した。よし! あそこいに行こう。そうと決まれば速いものだ。僕は先程とは比べ物にならない程の速度で歩を進めた。     
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