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女子とは思えない台詞を口にしたのは、僕の幼馴染みの福富陽菜乃。バスケ部のエースで運動は勿論の事、勉強もでき、顔立ちも整っていると言う才色兼備の憎たらしい奴だ。一年前に制服姿の写真を送りつけてきた女友達はこいつの事だ。僕たちの高校は昨年から制服が変わって、僕たちはその制服を着用する最初の学年だった。
男女問わず人気があり、こいつの事が好きだと言う奴を何度か耳にしたことがあるが、僕はその気持ちには全く同感できない。こいつの何が魅力的なのか……。
まぁ、可愛くないとは言わない。この制服だってよく似合っているとは思うし。
あれ……。
「陽菜、そう言えば―― 」
「仲良しだね、二人とも」
突然、僕の言葉を掻き消すかのように後ろから声がした。
「「仲良くない!」」
そのもう一つの声に僕たちは悔しくも同じ言葉、同じタイミングで言い返してしまった。
「ほら、仲良しじゃん」
僕らが向き直った先で優しく微笑みながらゆっくりと歩いてくる黒髪のイケメン……。こいつも僕の幼馴染みだ。名前は伊吹隼人、陸上部のエースで一年生の時に全国大会に出場し、勉強もでき、何よりイケメンで誰にでも優しい。所謂、完璧超人と言うやつだ。
「同じクラスになれるかな?」
そんな完璧超人が僕の肩に腕を掛けて言った。
「あたしは優とじゃなかったらどんなクラスでもいい」
すると、隣にいるのっぽがそれに力強く応えた。
「奇遇だね、僕も陽菜とはなりたくないね」
珍しく意見が合ったのだが、雰囲気は最悪だ。
「何だって?」
「何だよ」
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