春のとまりを 知る人ぞなき

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「はいはい、二人ともやめようね」 こんなやり取りをいつも繰り返していた。流石に僕も慣れてきた。僕はこんな日常が好きだった。陽菜とはいつも言い合ってばかりだが、そんな生活を何年も続けてると言い合わない方が気持ち悪い。 「あっ、そうだ陽菜。この制服って僕たちの学年が初めてだよね?」 「えっ? そうだけど?」 やっぱり……。と言うことは彼女は僕たちと同じ学年じゃないか。でも、学校では見たことない。あの子の顔はハッキリと覚えているのだ、見かけたらすぐに気づく。それにあんなに可愛いのだ、噂にすらなってないのはおかしい。どう言うことだ? 「お~い」 「わっ!?」 よっぽど深刻な顔をしていたのだろうか。二人は心配そうに僕の顔を覗き込んでいた。 「それがどうかしたの?」 陽菜が心配そうに首をかしげた。 「いや……」 そんな二人を他所に僕の頭の中は一年前に一度だけ出逢った僕と同じ学校にいるはずの少女で一杯だった。
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