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新たな家族に祝福を
十一月も終盤、無事にランバートが騎兵府補佐官に就任して、騎士団は新たな体制で動き始めている。
ようやく落ち着きを見せた事で、エリオットは久方ぶりの長期休みを取った。ルースの事件もあり、全員もれなく夏休みを取り損ねている。その分を給料として上乗せした隊員が多い中、エリオットは更に有給を追加した。
全ては、オスカルとの約束を果たすためだった。
「あんまり気を使わなくてもいいのに」
愛らしいベアーのぬいぐるみを選ぶエリオットの隣で、すっかり飽きた様子のオスカルがぶう垂れている。
午前だけ互いに仕事をし、エリオットはリカルドに、オスカルはルイーズにそれぞれ引き継ぎをして出てきた。
それがどうしてベアーの店かといえば、これには当然理由がある。
「シェリーさんにお子さんが産まれて、前回はお祝いを持って行っていないのですよ。慌てて出たとはいえ、本当にうっかりで」
思い出すと、本当に申し訳なさが増してしまいエリオットは恥ずかしく頬を染めた。
オスカルの妹、シェリーに子が生まれたのは十一月の上旬、ちょうどランバートの補佐官就任の準備真っ只中だった。
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