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ついてる女
僕は後悔してるんだ。
あの時君に別れを告げてしまった事を。
君には内緒にしていたけど、実は僕、視えるんだ。
そう、この世のものじゃないものが。
最初のデートの時、僕は視てしまったんだ。君にまとわり憑く赤ちゃんを。
当然君の横に赤ちゃんなんていない。だからそう、それは幽霊。
僕は思った。
『彼氏出来たの初めてなんて言ってたけど、子ども作るほどの相手がいたんじゃないか』
それも出来た赤ちゃんを産みもせず闇に葬ってしまうなんて。
だから僕は「嘘つきで命を粗末にする女なんかと付き合えない」なんて言って帰ってしまった。
あれからしばらくして道を歩いていたら、不思議なものを視たんだ。
まだ小学生にもならない小さな女の子に、赤ちゃんが憑いていた。
こんな小さな子どもに何で?
まだ赤ちゃん出来る歳じゃ無いのに。
「おや、君にも視えるのかい?」
丁度通り掛かったお坊さんが僕に声を掛けてきた。
「あの子はお腹の中では双子だったんだ。だがもう一人は育たずに亡くなってしまった。きっと一緒に産まれて来たかったんだろうなあ」
そんな事があるのか。
僕は初めて知った。それと同時に君の事を思い出した。
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