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「マジでいた」
「!?」
朝、いつも通り学校に来て、いつも通り雪と央士とたわい無い会話をして自身の席に着いた真人。
でも、その後。今日は一味違う朝を迎える事となる……。
「か、影山……くん……」
何故なら、いつもチャイムギリギリで来るはずの寅壱が、いつの間にか真人の前に立ち、そのまま話し掛けて来たのだ。
その瞬間。クラス中が騒つく。
「席近かったのな。全く知らなかった……」
そう言って、寅壱はマイペースに自身の席へとドカッと座り、そのままバタッと寝た。
すると、数分後。一部始終を見ていた雪が真人の側に慌てて近寄って来て小声で話し掛けて来た。
「だ、大丈夫!?」
「え……? あ、うん」
真人は心配して来てくれた雪に対し、そんな返答を返した。
「真人……?」
そんな真人を雪が不思議そうに見詰めている。けれど、そんな視線にも全く気付かず、真人は顔を真っ赤に染めてただ前を見詰めた。
(は、話し掛けられた……)
その事が頭を埋めたのだ。
まさか寅壱が自分に話し掛けて来るなんて思ってもいなかった真人は、ただそれが衝撃的で、でも、ただそれだけで嬉しくて、この気持ちを表現するにはどうしたら良いのか分からないほど嬉しかった。
だから、一点しか見れなかった。
けれど、そんな真人の異変を雪はどう捉えたのか、真人の肩を揺すって起こそうとしてきた。
寝ているわけではないのに……。
「ま、真人! だっ、大丈夫なの!?」
「え? あっ、何が?」
雪が何を心配しているのか分からない真人は、ハッとなった瞬間に雪を見詰めた。そして、不思議そうに雪を見詰め、小首を傾げる。
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