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あたまの中で何度も繰り返される二人のキスシーン。
モヤモヤする。
台風の時の空みたいに私の心が真っ黒になっていく気がした。
次の日。
「て、哲也先輩。」
私は思わず廊下で見かけた哲也先輩を止めた。
「どうしたの?湊さん。」
ここまで来たら後には引けない。
「少しいいですか?」
「うん?」
そう言って裏庭に出た。
「哲也先輩はかのこ先輩と付き合ってますか?」
「え?」
私の突然の問いかけに哲也先輩は少し大きい声を出した。
「私昨日見ちゃって…そのー。哲也先輩とかのこ先輩が…キ、キスしてるところ。」
私がそう言うと哲也先輩は顔を真っ赤にしていた。
「うっそ。見られてたの。恥ずかしい。うん。付き合ってるよ。ついこないだから。でも、隠してるんだ。だから、誰にも言わないで。」
いつもの可愛い先輩だ。
「もちろんです。誰にも言いません。」
「ありがとう。」
私は今うまく笑えてるだろうか。目頭が熱い。
「相談ならいつでも乗りますよ。」
「じゃ。何かあったらお願いするかな。」
この時の私はまだ知らないのです。
これから起こる全てのことを。
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