第6章

37/56
285人が本棚に入れています
本棚に追加
/701ページ
 片手にビールを雪菜の目元に持っていき「我々のこれからの人生の親睦を深める為に、乾杯」  呆気にとられてしまった。  健二は笑いながら「そっ、乾杯! 望美ちゃん宜しくねっ」  嬉しかった!  いつも変わらず、望美の気持の居所のスペースを開けて置いてくれる二人に、涙が溢れて止まらなかった。  「ほらぁー 泣くことないわよ。 これからの今迄以上に幸せにならなくちゃ、ね」  望美の肩をポンと叩き、子供にするように頭を撫でてくれた、雪菜の目にもうっすらと涙が滲んでいた。  「望美ちゃん、身内びいきになるけど、お爺さま? あっ、望美ちゃんにはお父様だね。 身内から言うのも変だけど、望美ちゃんのお父様、あぁーー どの様に言ったら良いんだ? 雪菜」  「お兄様は考えすぎよ。 お兄様の立場で言うなら、お爺さま?が妥当かなぁ~ あえてお父様と言うのは、たしかにノンの立場ではそうなんだけど」  二人の会話を聞きながら、たいした事で無いことを、あれやこれやと話す兄妹が微笑ましかった。  「私的には、貴方たちの立場から呼んだ方が良いと思うんだけど」  望美はどちらでも良かった。  それより、たわいも無い事を一緒に話し合える人がいると思うと、和みの気持でいられた。      
/701ページ

最初のコメントを投稿しよう!