第6章

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 「ノ、ン、 わぁーーはじ、は、じめて、よ、ねぇー こ、こぉんな、に、飲んじゃ、あって、ね?」  きっと私なりに言葉を返したが、返した言葉を忘れている。  (たしか…私、なんか言ったような気がするけど。 やだぁーーなんか言ったわよね? 思いただせないほど酔ったのかしら…うっそぉー ダメ、ダメ、ダメよぉ)  「お、お兄、様? 嫌だぁー ヨレ、ヨ、レねぇ、 いま、な、んじ? まさ、か、あさ、に、ちかい、夜な、の」  流石の酔っている望美は、私の方がまとも何だと、可笑しくなり笑ってしまった。  健二はビールと、ワインに加え、最後には酎ハイである。  酔わないのが不思議である。  このままだと、代行を頼むか? それとも、部屋に泊まらせるか?  思案していた。  望美も適度に酔ってはいたが、二人ほどでは無いと思いながら、声をかけた。  雪菜は酔いつぶれそうである。  健二は、このままいるとテーブルに頭を付けて寝るようになる体勢になっていた。  (今日は仁科君と会い、夕食を済ませ…そ、れから、雪菜が、家に来て飲んで…今日はな、なんか気忙しいかった。 ん、あっ、仁科君とい、一緒にいるとき、た、し、か、副院長と…なまえは…思い出せないぃー にか、てな、女の人……お、もい出すと、よ、酔いが回っちゃう)  たどたどしい、もつれそうな足先を気にしながらも、テーブルの乱雑した、つまみの食べかけ等片付けようとした。  ブルーライトの着信が、目に留まった。  こんなに遅くに誰なのかと、直ぐには見ずに、後片付けをし始めた。  LINEからの着信音が…  着信が、同じ人から2回もきていた。  全く気付かずにいた。  申し訳ないことをしたと、今更ながら思い、LINEを送ることにしようとしたが、さっきのLINEの着信音は、携帯が繫がらないのでLINEを送ったというメッセージであった。  (きっと昼の女性の無礼のお詫びなのかなぁ? それなら別にお詫びして貰わなくて良いのに! それより目の前で、その女性に注意すれば良い事よね?)  着信と、LINEの相手に早く繋げようとは思わなかった。  たいした事では無い気がしたのだ。  しかし、無視する事は常識的に良くないと思い、LINEで送った。  「携帯もLINEにも気付かずに申し訳ないです。 何かご用があったのでしょうか? 深夜ですがLINEを送りました」  直ぐにLINEがきた。    (えっーーひょっとしたら寝てるかも! 朝に見てくれたら、その時返信しようとしていたのに。やだぁー 今酔っているから無理なの。 あぁ、眠いんですけど)  ぼやきながら、羽鳥家の兄妹は夢の中にいた。  そんな状態の雪菜に話をして貰うわけにはいかず、当然、健二に交われないことは望美は、おぼろげな意識の中で思っていた。  「明日にでもあえないかい?」  何事があったのか?  理解に苦しむ、この馴れ馴れしい誘いは何か?  会えないか? 理由は父の健太郎の事なのかと思った。  LINEに返事を送った。  「漠然で会えないか、だけの内容は理解し難いですので、もし良かったら詳細を手短にLINEで下されたら有難いです」  即、返信内容にビックリ!  どうしたら良いかと返事を直ぐには返せなかった。    「明日僕は休みなので、アパートを引き払う手続き等で、父と一緒にそちらに10時に行きます」  まさかでしょ?  望美にも都合が有ることを確認しないで、即決で決めたことに、怒りさえ感じていた。  返事をする事にためらいを感じながら、宙に浮いたような頭脳線を、なるべく難しく使わないように、返事は保留する事に決めていた。  ところが…  
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