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「…慎ちゃん、おれ、ふられた」
「え?陽平、おま」
「まー完全にふられたわけじゃねーけどー
別に落ち込んでねーけどー」
「ふてくされてる…」
お昼休み、田村陽平のクラスメイトの大野慎太郎は、上の空で味の分からなくなった卵焼きを頬張った。
「告ったって…あの子か?橋本梨花さんか?」
「うっせーよ、そーだよ」
「まーそりゃ高嶺の花ですよ」
「え、あいつモテんの?」
「まぁ、うちの男バレにも告ったやつとかいたし」
「マジかよ!?」
「まぁだって…かわいいじゃん。運動神経いいし。頭もいいし。性格もいいし。」
「めっちゃ褒めるな、お前。なんか怪しー」
「べ、別に好きとかじゃねぇぞ?」
陽平は朝からずっとふてくされているので、慎太郎の異変に気がつかない。
そう。
慎太郎は梨花に一目惚れしてしまっていたのだった。
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