第2章 なんで安心しているんだろう

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「どうせあいつと身長が5センチしか違わない俺じゃ無理ですよー」 「うん、橋本さんスタイルいいからな」 「180の男には分かんねーよ俺の気持ちはー!」 「まぁバレーとか身長命だし?お前もセノビック飲んどけ~」 「…あいつ、背が高い人が好きって言ってた、中学の時」 「え、俺やん」 「お前じゃねー!!」 冗談で慎太郎は笑ってみせたが、内心ドキドキしていた。 これ、ワンチャンス。 「俺がもう少しでかけりゃな…」 「んー、まあ完全にばっさりふられたわけじゃないんだろ?まだ分かんないってことなら全然落ち込むことねーじゃん」 「そうか」 「まぁ橋本さんって男友達は少ないし、お前は大事な幼馴染なんだろーよ。ずっと友達でいたいってのは分かるし」 「そうだ、俺は大切な幼馴染だ!」 「…立ち直りはやっ」 「こんなことでしょぼくれてられっか、もーすぐ最後の総体だし」 「俺も。もーすぐ最後の夏が来るなー」 「彼女のいない夏が来るゾォ」 「まーお互い仏になろうぜ、この受験期は」 「もち、部活と勉強ガチる!」 二人は力強く拳を合わせた。 教室には梅雨が明けた爽やかな初夏の風が吹き込んでいた。 平成最後の夏が、来る。
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