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「どうせあいつと身長が5センチしか違わない俺じゃ無理ですよー」
「うん、橋本さんスタイルいいからな」
「180の男には分かんねーよ俺の気持ちはー!」
「まぁバレーとか身長命だし?お前もセノビック飲んどけ~」
「…あいつ、背が高い人が好きって言ってた、中学の時」
「え、俺やん」
「お前じゃねー!!」
冗談で慎太郎は笑ってみせたが、内心ドキドキしていた。
これ、ワンチャンス。
「俺がもう少しでかけりゃな…」
「んー、まあ完全にばっさりふられたわけじゃないんだろ?まだ分かんないってことなら全然落ち込むことねーじゃん」
「そうか」
「まぁ橋本さんって男友達は少ないし、お前は大事な幼馴染なんだろーよ。ずっと友達でいたいってのは分かるし」
「そうだ、俺は大切な幼馴染だ!」
「…立ち直りはやっ」
「こんなことでしょぼくれてられっか、もーすぐ最後の総体だし」
「俺も。もーすぐ最後の夏が来るなー」
「彼女のいない夏が来るゾォ」
「まーお互い仏になろうぜ、この受験期は」
「もち、部活と勉強ガチる!」
二人は力強く拳を合わせた。
教室には梅雨が明けた爽やかな初夏の風が吹き込んでいた。
平成最後の夏が、来る。
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