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キシは、あの光を湛えた目で僕を見ていて、指で僕の頬に触れ、その指を僕は手を伸ばして掴み、自分の口元に持っていった。 口を開いて、キシが唇を撫でている親指を舌で絡め取り、口の中で軽く噛む。 キシは深く息をついて指を引き抜き、顔を傾けて、僕にキスした。 目を開けると、キシの目は閉じられ、その皮膚の薄い瞼と綺麗なまつげが、僕の胸を締めつけた。 唇が離れた時に、僕は、 「好き」 と口走った。 言おうとしたのではなく、気がついたら、言っていた。 思わず息をのみ、しまった、と思ったのが、多分顔に出た。 キシは、聞かなかったふりをしようとして、それも難しいタイミングだったらしく、口の中で、うん、と言って、続きを始めた。 いつもは、先にシャワー浴びろ、と僕をベッドから追い出すのだが、キシが何も言わないで天井を見ているので、僕はうつ伏せて、その横顔を眺めていた。 キシさんの顔が好きっていう意味、と今からフォローしてみるのはどうだろう、というアイデアが頭を回り始めた頃、キシが僕にちらっと目をやって、 「枕、取ってくんない」 と言った。 僕は肘をついて体を起こし、ベッドの下に手を伸ばした。何も手に触れないので、顔を上げて見ると、かなり遠くに落ちていた。 「投げるなよ…」 「取ってきて」     
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