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「はじめまして。店長の『りの』です。じゃあ、始めようか」
店長と呼ばれた女性は、背が低く年はまだ20代のようだ。シャツにジーパンという格好で、胸は私のほうが勝っているようだ。端正な顔立ちで、長い髪を後ろで一つにまとめている。
私を目の前の椅子に促すと、自分も腰掛けると「お茶だけど大丈夫かな?」と、私の前にコップを差し出す。「履歴書持ってきた?」とお決まりのセリフを言ったとあとに、私が差し出した履歴書を受け取るとざっと目を通す。
「安住綾さんね。19歳ね…」
「はい」
未だに履歴書とにらめっこを続けているが、私の返事を受けて経歴の欄を眺めていたのだろう。
「OK。じゃあ、なんで入店しようと思ったのか教えてくれる?」
「えっと…。そんなに大した理由はなくて、こういう夜のお店に興味があったから。です」
「ふぅん。そっか。じゃあ、うちの決まり事とかシステムとか説明するね」
そう言うと、事務的な感じで、1枚の紙を取り出すと、それを淡々と読み上げる。
「以上がうちのシステムなんだけど、なにか質問とかある?」
「いえ…特にないです」
「そうか。こういうところで働くのは初めて?」
「は、はい!」
もう終わりかと思っていたところに唐突に質問をされて、すこしうわづった声が出てしまった。これも面接の評価につながったりするのだろうか…。
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