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中学生になるまでは本当に辛かった。
いじめはさらにエスカレートしていたがお母さんの言葉を思い出し強い心で必死に耐え、勉強も人一倍頑張った。
勉強以外では音楽が好きだった。歌は1回聴けばどんな曲でも歌う事が出来た。
歌っている時だけは嫌な事も全部忘れられた。
そしてようやく中学生になり、花火の日を迎えた。
僕は震える手で線香花火を持ち、その時を静かに待った。
火が灯ると、笑顔のお母さんが目の前に立っていた。
「奏、小学校でいじめにも耐えて勉強もすごく頑張って、本当にえらかったわ。お母さんの自慢の息子よ。次は高校に入るまで会えないけど、受験頑張って行きたい高校に行くのよ」
「お母さん、僕のお父さんはどんな人なの?」
「お父さんはとても歌が上手で、オペラ歌手を目指してたけどなかなか芽が出なくて食べるのも大変だった。そんな訳であなたがお腹にいる事は言えなかったの。本当にごめんなさい」
線香花火が消え、伏し目がちのお母さんは消えてしまった。
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