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『ザァザアアアッ』
『やはり美術部に所属する優と、ボクシング部に所属をする北条とでは、同じ十代の男子でも筋肉の付き方が異なるから。二人を並べると創作意欲が刺激をされる画材となるな』
『ザァザアアアッ』
『大切な幼馴染みである絵美の役に立てて、私も嬉しく思いますね』
『私も藤原君と九条さんが所属する美術部の部長として、貴重な画材を描く機会が与えられて助かるわ♪』
私の大切な幼馴染みである優と、美術部の部長である先輩の男女は、夏の浜辺で写生画を描く機会を私同様に楽しんでいるようだが。
『どうした北条?。少し呆れた表情を浮かべているように見えるが』
優と並んで浜辺の砂浜の上で画材となっている北条は、やや呆れた表情と口調で。
『いや、確かにボクシング部の部活が無い日に、一緒に海に行く事は約束したけれどさ九条。何で真夜中に、学生四人で浜辺に集まらないといけないんだ?』
満月の月の明かりの下でも、北条が不思議そうな表情を浮かべているのが良く判るな。
『あら、北条君。夏の日差しは十代の少女のお肌の大敵なのよ♪』
先輩の女子生徒でもある部長の説明に、北条は一応は納得した表情で頷いて。
『確かに先輩の言う通りすね。藤原も九条の肌を気遣って、真夜中に集まる事にしたのか?』
学校の同級生である北条の問いに、優は私の事を優しい眼差しで見詰めながら。
『勿論それもありますけれどね北条君。それよりも私の大切な幼馴染みである絵美の水着姿を、不特定多数の視線に晒したくなかったという理由が大きいですね』
優の返答を聞いて、部長と北条の先輩と後輩である男女は、お互いの顔を見合わせてから同時に笑みを浮かべて。
『この上無く納得をしたわ、藤原君♪』
『俺も完璧に納得だ、藤原♪』
理由は判らないが、部長と北条の二人は納得をしたようだな。
『さて、夜が明ける前に絵を仕上げてしまいたい。日が昇ったら、朝陽の中で少し泳ぎたいしな』
私の提案に、優と北条と部長の三人は笑顔で頷いて。
『良い考えだと思いますね絵美』
『せっかく海に来たんだから、泳がないとな九条』
『日差しが強くなる前の海水浴なら歓迎よ、九条さん♪』
私は芸術にしか興味がない人間だが、四人で共有する時間には心地好さを感じている。
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