真夜中の箱の中で

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 まだどこか納得せず声を上げる先程の赤い出で立ちの男に、これまた全身赤の衣装で身を固めた司会者は、視線だけで相手を黙らせると口を開いた。 「人間の子供はあっという間に大人になっていくのだよ」  と。 言外に己の不必要さを滲ませて。  部屋中に、暗いため息が充満する。  世界の創造者たる――いいや、彼らの持ち主の男の子は、もうすぐ十歳になる。  先に待つのは、静かなる忘却か。  炎獄の滅亡か。  ――それとも新世界の創造者の出現か。  どの未来を突き付けられても、拒否権などというものはない。  であるならば、潔く受け入れることだけが、たった一つ残される矜持なのかも知れないと司会者の『レッツゴー・レッド』は口にした。
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