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真夜中の箱の中で
辺りはシンと静まり返り、真夜中特有のゆったりとまったりとした空気が漂っている。
場所は、どこでもあるような……どこでもないような、そんな『人目を避けた部屋』という事にしておこう。
その部屋の中には、これまた人目を避けるように息を殺してこっそりと集まった者たちがいた。
狭い部屋の中は既に満員状態だが、皆口数少なく部屋の中で顔見知りを見つけては軽く挨拶をかわす。
それにしても、人目を憚っている割に皆服装は色とりどりに賑やかだ。
中には身元がバレることを恐れてか、獣のようなマスクをかぶった仮装紛いの者までいる。
「そろそろ皆揃ったようなので、始めたいと思うが――」
突然響いた声に、あまり広くはない部屋の中に緊張が走った。
部屋中の者の視線を集めた人物は、その空気をなだめるように皆に着席を求める。
「今夜も集まってもらったのは他でもない。我々が立たされている現状について話し合うためだ。我々が生存の危機に直面していることは、皆熟知していることと思う。何分、我々は数が増えすぎ――」
「それは、我々だけの責任ではない! なぜ問題と正面から戦おうとしないんですか!」
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