第3章 猫を抱く女

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「いやなんだ、私。他の女があなたにでれでれするの。それに答えて敦君がでれでれするの。見てられないよ、そういうだらしない顔」  奈々子は再び前を向いて歩き出し、僕は彼女に遅れまいと足を速めた。  何だか可笑しくなる。でも笑ったりしたらきっと奈々子の機嫌を更に損ねるだろうから、僕はしかつめらしい顔をつくろって並んで歩いた。ひょっとして彼女はけっこう普通の女の子じゃないか、とふと思った。 (第4章に続く)
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